平方 秀樹(福岡腎臓内科クリニック)
九州人工透析研究会のホームページにアクセスして頂き 誠にありがとうございます.会長の平方秀樹(福岡腎臓内科クリニック)です.平成28年1月、大分大学教授 三股浩光先生の後を継いで第7代会長を拝命いたしました.
本研究会の発足は昭和43年11月.毎年暮れに九州・沖縄、各県の担当幹事が順番に会長となって開催してきました.約50年が経過し、平成29年12月には福岡県が当番で九州大学教授 鶴屋和彦先生(現 奈良医大腎臓内科教授)の主宰で第50回の記念大会が開催されました.人工透析療法に携わる医師、看護師、臨床工学技士、薬剤師、栄養士など約2,000名が集い、血液透析療法、CAPD、腎移植、アフェレーシス、急性血液浄化療法など幅広い分野に亘って活発な討議が行われました.平成28年12月には待望の学会誌(九州人工透析研究会誌)発行を開始し、原著論文、総説、学会発表記録などを掲載しています.本会は学術団体としての体裁を整えつつ発展しています.
わが国の透析患者数は、1976年の18,010人から40年後の2016年には329,609人と18倍に増加しました.糖尿病が末期腎不全の原因疾患の第一位となり、高齢化と長期透析患者の増加が特徴です.治療分野の進歩は著しく、腎性貧血治療ではエリスロポエチン製剤が一般化し、腎性異栄養症はCKD-MBD(慢性腎臓病に伴う骨ミネラル代謝異常)に総称されるようになって、活性型ビタミンD、カルシウム受容体作動薬、そして、多種類のリン吸着薬など、より特異的な製剤が使用可能になりました.特に、鉄含有リン吸着薬の登場は、鉄不足の問題に光を当て、腎性貧血とCKD-MBDのcross-talkに気づかせました.今、透析医療の分野には大きな変革がもたらされています.
わが国の透析患者の年粗死亡率は約10%を保ち、先進国の中で最も良好な成績を維持しています.それは、わが国の透析医療は高いレベルで実践されている証左で、特に、九州・沖縄におけるきめ細かい配慮は高い評価を得ております.しかしながら、透析患者の平均余命は各年代にわたって一般人の約半分程度です.これを、一般人と同等にあげることはどこまで可能なのか.そして今、サルコペニアや栄養障害に基づくfrailtyが大きな問題となっています.長時間・頻回透析、On-Line透析など、透析技術の進歩はどれだけの意義を有するのか.多くの課題が真剣に検討されています.本学会の貢献を確信します.何卒、ご支援をお願い申し上げます.