
藤元 昭一(宮崎大学医学部医療環境イノベーション講座)
この度、九州・沖縄地区の透析療法の発展に多くの点で寄与してきた九州人工透析研究会の第8代会長に就任することになりました。学問的にも人間的にも優れ、統率力を備えられた代々の会長が大事に育ててこられた本研究会を、さらに前に進めるべく尽力したいと思っています。本会は55年を超える歴史を有し、立上げ時の数年間の本研究会総会会長は泌尿器科の先生方がなされており、その後は内科の先生方にも務めていただいています。また、各県の幹事2名は(福岡県は6名)、大学・基幹病院ばかりでなく、開業医の先生方にも務めていただくなど、幅広い先生方とともに、多くの透析医療スタッフの参画も得て活動がなされてきています。さらに学術団体としての証でもある九州人工透析研究会誌が2018年より年1回発刊され、昨年12月発行の第8巻からはホームページでも閲覧できるようになっています。
さて、日本の約60年間の透析療法の歴史の中で、小生の知るこの約30年間においても、薬物療法(腎性貧血、骨・ミネラル代謝異常等)やバスキュラーアクセス、オンラインHDF等、様々な透析療法に関連する治療の進歩が、患者さんへ恩恵をもたらしてきています。しかし、慢性透析患者の透析歴を見ると、10年未満の患者数が約3/4を占めていますので、まだ予後の改善を目指す必要もあるでしょう。一方、現在は、長期予後の改善を目指した維持透析療法だけでは対応できない状況がますます大きくなっています。高齢化、病態の複雑化・重症化を背景に、社会支援を仰ぐ必要がある患者が増えてきていることです。それに呼応するような形で、日本透析医学会も共同意思決定(SDM)やサルコペニアに関するガイドライン等を提示し、腎臓リハビリテーションとして「透析時運動指導等加算」も可能となりました。毎年各県持ち回りで開催されている本研究会総会におきましても、学術的な進歩に関する話題はもとより、多方面の話題を積極的に提供いただき、皆様で議論し、情報を共有し、患者さんへのフィードバックを期待します。
また、本研究会が九州・沖縄地域の透析医療の発展に寄与するとともに、地域透析医療を支えるという意味では、感染対策、災害対策も皆で考えていく必要が高まっています。ライフラインの安定供給に頼る透析療法は、大規模災害時には直接的に影響を受け、透析現場は大きな混乱をきたし得ます。透析療法における災害対策(特に大規模地震発生時の県を跨いだ協力)に関して、本研究会は九州透析医会とともに、九州全体で考えていく必要があるのではないかと思っています。
最後に一言。九州人工透析研究会が、透析領域の研究や教育、さらには交流の場として発展するよう、皆様のご協力、ご支援をお願い申し上げます。
